マイネームイズ
ラストスプリング
ドラマチックメモリーズ
性欲を満たすだけの愛のないセックスは必ず後悔する。
それでも僕はやめられない。そんな僕の失敗談をひとつ。
19歳の冬。
僕はコンビニでバイトをしていた。
時々買い物に来る可愛い女の子を心の励みに、ただひたすらレジを打つ毎日。今日彼女は来てくれるだろうか。
…
……
17時になりバイトをあがる。
今日は来なかったなぁ、なんて肩を落として店を出ると、そこに彼女は居た。
あの、これ受け取って下さい。
そう言うと彼女はアドレスの書かれたメモを僕にくれた。
なんと言う奇跡…なんと言うドラマチック。こんな事があっていいのだろうか。
美人局的なアレか?とも考えたが知ったこっちゃない。
このセックスチャンス逃してなるものか。美人局でもなんでも来やがれ。
足早に家に帰ると早速メールを送った。
…
……
これが僕の凄いところで、翌日には彼女を部屋に連れ込んでいた。
恐ろしい程のトントン拍子。
過去のトラウマが頭を過るがなんのその。
彼女はどう見たって女の子だ。
ウィル・スミスには似ても似つかない。しいて言うなれば重盛さと美だ。どうだ、羨ましいだろ。
とりあえずコタツに入りテレビを観る。さと美は何か喋っているがそんな事はどうでもいい、コッチは早くヤりたくて仕方ないんだ。
僕はさりげなくさと美の隣に移動し、そのまま押し倒した。
ここまで来たら断られんだろう。そう踏んだ僕は思いっきりディープキキッスをかましてやった。
ニギニギ
ッ?!?!
この女!痴女である!!
コッチがペッティングをするよりも早く僕のズボンに手を入れ、上下に摩ってくるではないか!
可愛い顔してとんだ変態女だ。
ええい、負けておれん!
僕はコタツの中で器用にさと美のズボンを脱がせ良い塩梅に湿ったマムコを弄った。
ほ〜れ喜べ!イッチニ!イッチニ!
お次はクンニだこの野郎ぉ!
コタツ布団を捲り上げたその時だった。
ッッッ!?!?!?
あっ、圧倒的腐敗臭ッ!!
なんだコレは!?
コタツの中でザリガニでも死んでいるのかァ〜ッ!?
余りに強烈な異臭に119番をダイヤルしようとしたがさと美はケロっとしている。
この女、気づいていないのか!?
不幸中の幸い、さと美はこの異臭に気づいていない。鼻でも詰まっているのだろう。
しかし、バレるのも時間の問題。早く原因を突き止めなければ。
臭う、臭うぞ。
そんな、嘘だろ…
僕は恐る恐る自分の中指に鼻を近づけた。
くっさぁ〜い!
僕の中指がくっさ臭なのである。
何か変なもんでも触ったのか?!頭をフル稼働させ記憶を呼び覚ます。
導き出された答えはただひとつ。
さと美のマムコである。
にわかには信じられなかった。
こんな可愛い娘のマムコが臭いはずがない。
しかし、そんな事も言ってられない程の異臭がさと美のマムコから漂いつづけている。
そう、コレは紛れもない事実なのだ。
心は折れかけていた。もうダメだ、これ以上は続けられないよ。
誰か僕を殺してくれ。
…
……
ふと目を落とすとそこにはギンギンにいきり起ったムスコがいた。
おいおい、嘘だろ。お前はまだヤれるって言うのか?
僕にまだ諦めるなと、そう言ってくれるのかい?
へへっ…そうだよな。こんなところで終われるかってんだ。
やってやろうぜ!俺達の戦いはこれからだ!
…
……
その後、僕は騎乗位でイかされ、さと美には直ぐに帰ってもらった。
何度も何度も熱湯で赤くなるほど手を洗ったが三日間指の臭いが落ちる事はなかった。
数年後、めちゃイケのレギュラーに重盛さと美が選ばれたのを見て僕は指の臭いを嗅いだ。
大丈夫、もう臭くないよ。
アイアムアレジェンド
今からするお話は僕の墓場まで持っていくはずだったお話。
心して聞いて欲しい。
19歳の夏。
大学も行かずバイトもそこそこに、ひたすらダラダラしていた僕にクリスティーナと言う女性からmixi経由で1通のミニメールが届いた。
また業者かなんかからの詐欺メールだろうと思いながらも開いてみるとそこには
「シンガポールの人ですか?」
と書いてあった。
もちろん僕はシンガポールの人ではないが、少し面白かったので返事を出すことにした。
これが僕とクリスティーナの出会い。
何通かやり取りをしているうちにクリスティーナの事が段々分かって来た。
五つ年上である事。フィリピン人と日本人のハーフである事。日本語があまり得意ではない事。
こうなって来ると気になるのはそのお顔。僕は思い切って顔写真を送ってくれと頼んだ。
クリスティーナはひとつ返事でOKをくれた。
胸をときめかせメールに添付された写真をダウンロードする。
フィリピン人とのハーフだ、可愛くないはずがない。名前からして可愛いもの、絶世の美女に決まっているんだ。
ムスコも早く見せてよと言わんばかりに張り切っている。
ドキドキ、さぁどんなお顔なんだい?僕はダウンロードが完了された画面を覗き込んだ。
…
……
微妙だ…
絶妙に微妙だ!
ブスではないッ…ブスではないが期待が高すぎたのだ!
少し日焼けはしているもののクリクリとした瞳にシュッとした高い鼻。所々気になる部分はあるがそこは目を閉じよう。
充分じゃないか、充分クリスティーナクリスティーナしてるじゃないか。
会おう!!
僕は思い切ってクリスティーナにそう言った。
ひとつ返事でOKをもらい次の日に
会うことに。
翌日、よく晴れた日だったのを覚えている。
トントン拍子にうまく行き過ぎていて怖いが昨日の夜からムスコがパンパンだ、このままトントン行ってくれよ。
僕は緊張と興奮に包まれながら待ち合わせの場所へと向かった。
頼む、居てくれ!!
そう祈りながら路地を曲がり待ち合わせ場所を見渡した。
…居ない。
クリスティーナは居なかった。
代わりにウィル・スミスみたいな顔をした背の高い女が立っているだけだった。
なんだこいつは、薄っすらヒゲ生えてきてんじゃねえか。オカマか貴様!気持ち悪い。
まだ着いてないだけかもしれない。僕は諦め切れずクリスティーナにメールを送った。
ピロリロリ〜ン♪
おっとクリスティーナからの返信だ!やっぱり遅れてるだけなのねッ
「もう居るよ。」
おい嘘だろ…
嘘だろぉぉおおおおッ!
こいつがクリスティーナかよ!
ただのウィル・スミスじゃねぇか!
はっ!逃げなきゃ!
逃げなきゃヤられる!!
モシカシテ、H君?
ここで違いますと言えたらどれだけよかった事か。
僕は正直者なんだ。両親からも愛情を注いでもらって真っ直ぐに育って来たんだ。口が裂けても違いますなんて言えなかった。
あ、はい。
ヨカッタ!キテクレタノネ。サァ、イキマショウ。
行きましょう?クリスティーナ、貴方は僕を何処へ連れていってくれるんだい?
あ、あの、どっ、何処へ?
ウフフ、フタリダケニナレルバショ♪
ヤバイぞ。まだ逃げるには遅くない。逃げるなら今しかないぞ。
逃げなきゃシオシオになったムスコが腐り落ちてしまう。
ガシッ
ウフフ♪
腕を組まれたぞぉぉぉおッ!
もう逃げ場はないってね!
周りの視線が辛ぁーい!
わー!
…
……
まさか初めてのラブホテルがウィル・スミスだったなんて。なんて残酷な未来なの!過去の自分が知ったらどうなってしまうの!きっと首を切って死んでしまうわ!
さぁ、始まるんだ…
ホテルに来たって事は始まってしまうんだ。
サァ、フクヲヌイデ。
ええい、ままよ!
さぁ!裸になったぞ!
オラァ!!
ヌガセテ♪
やったらぁ!
なんぼでも脱がせたらぁ!
オラァ!!
な、なんだこのオッパイは!?
あまりにも形が整い過ぎているぞぉ!さては豊胸か貴様ぁ!
お次はパンツだオラァ!!
ボロぉ〜ン
ギャァアアアアアアアアア!!!!!
次の瞬間、僕は服を着て深々と頭を下げていた。少し泣いていたと思う。
クリスティーナも心情を察してくれたのかそれ以上は望まなかった。
僕はクリスティーナにホテル代の半分を渡すと逃げる様に部屋を出た。
…
……
これが僕のお墓まで持っていくはずだったお話。
数年後、僕はアイアムアレジェンドというDVDを観た。
本当に良い映画で凄く面白かったんだけど
なんでかな、心がチクチクしたんだ。